これまでの当たり前や常識が次々に壊れていく最近ですが、今朝の日経1面で、ROE偏重経営がもろさを露呈しているという記事がありました。
ROE ( Return On Equity ) = 自己資本利益率は、純利益 / 自己資本です。
株主から見れば、少ない出資でどれだけ多く利益を上げてくれるかがわかる指標となっており、投資家や株主都合の数字だとも言えます。
ROE偏重経営のアメリカでは、純利益を上げることでそれを上げようとするのではなく、分母の自己資本を減らして数字を上げようとする手法まで盛んです。
ROEを上げることに偏重した経営をしていたら、コロナ危機の中では真っ先に困窮してもろさを露呈するのは自然です。けれども、特にアメリカではROEが高いほど株主のために経営されている象徴で、それが良しとされてきた結果です。
対して日本企業は、内部留保のためROEが低いとよく目の敵にされてきました。けれども今回は、 日本的な経営や内部留保が功を奏しており、内部留保も馬鹿にできないことがわかりました。
いずれにしても投資家や金融機関絡みの小手先のテクニカルな数字を追っている世界というのは、 リーマンショックの時もそうでしたが、 崩れるときはあっさり崩れてしまいますね。
さらに、話変わってこちらの方が本題なのですが、インドのIT企業もコロナ危機で受注が減って苦戦しているようです。インドはIT技術大国として有名な印象ですが、あくまで大部分が下流工程の下請けに偏重しているとのことです。
つまり、危機の中で企業の開発投資などが減れば、相対的に下請としての受注が減ってしまいます。土木業者の場合、弊社もそうですが、下請け仕事が締める売上というのは、完工高の結構な割合を占めているはずです。
したがって、コロナ危機の中でインドのIT企業界隈で起こっていることが、日本の土木業者の間でも起こり得ます。下請けも下流工程であればあるほど、景気の影響をもろに受けてしまうでしょう。
インドではここ最近、その受け身の下請け偏重のあり方が問題視され、上流工程へステップアップするための改革をやっている最中に今回の危機に直面しています。
これからわかる通り、下請けに偏重すること自体は悪ではないですが、受け身の下請け一辺倒でいるのはまずいです。同じ下請けメインでも、積極的に提案したり売り込める技術を持っていたり、仕事を生み出せたりする力が大事です。
下流工程の下請けに偏重したインドのIT企業がダメージを受けている話ですが、コロナ危機の中で日本の小さな土木業者、法面業者もそれと同じ状況に直面するおそれがあり、単なる遠い外国の話ではないと思います。