コロナウイルスの影響で、今から数年は、リーマンショック以上の不況がやって来そうです。法面工事の発注数も減少するでしょう。
経営者にとっては、踏ん張りどころ、なんてぬるい言葉では表現できないほど苦しい年月になりそうです。失業率も世界が経験したことない水準まで増加する恐れがあります。
その反面、コロナの危機で影響力を強める企業も出てくるはずです。
危機を生き延びるだけでなく、真に力を持つ企業は、パンデミック収束後の世界でより強くなるでしょう。
これからの技術投資やサービス開発にあたっては、コロナ後の世界を見通す力が必要です。
そんな状況もあって、最近自らが持つべき「視座」を見直すことが多くなりました。
視座とは、”物事を見る立場”のことで、個人的には、”物事を捉えるときの階層レベル”だと解釈しています。
「視点」や「視野」と混同しがちですが、前者は見ている点、後者は見ている広さです。なので、同じ視座を持っていても、視点や視野が異なることはあり得ます。
日々仕事をするうえで、視座を高く保つことが重要なのは言うまでもありません。職人なら、先輩や職長の立場で現場や段取りを考えられることは、円滑に仕事を進める上で重要です。管理者なら、担当現場だけでなく、会社の全体工程なども見渡したうえで段取りする場面も多いでしょう。
自分の立場よりも数段高い視座を持つ個人が揃っていることが、小さい会社が組織としてうまく機能する条件だと思います。自分の立場と同じかそれより低い視座でばかりモノを見ている従業員や管理者が多いと、小さい会社はうまく回っていきません。その代わりをするためにそれぞれが連動して視座を落とし始めると、会社全体の視座がぐっと下がってしまいます。
視座を上げるのが難しい理由は、視座が高くなるほど物事が抽象化していくからです。
現場作業の場合、低い視座では、現場で自身が担当する作業が明確化されていて、考えることが非常に具体的です。職長レベルになると、作業そのものに加えて、それぞれの人間の動きや現場の段取りを管理します。さらに工事部長などになると、各現場の動きをチェックしつつも、全体を俯瞰して眺め、年間を通してスムーズにつないでいく必要があります。
1つ視座を上げるたび、不確かなことが増え、物事が抽象化していきます。
しかしながら、これから始まる不況を乗り越えるためには、それぞれが視座を高く持つことで、会社の視座を高く保っておく必要があります。会社の視座が低い状態では、これまでは何とか回っていても、厳しい状況下では淘汰されるかもしれません。コロナ後の世界の水準から外れないように、これから数年を過ごす必要があります。
たとえば、視座の低い会社がピラミッドを眺めれば、三角形に見えるでしょう。その一方で、ピラミッドが四角形にも見える視座で経営している企業もあります。
コロナ後の世界では、ピラミッドを四角形と見ることが常識になるかもしれません。その時、三角形でしか見ていなかった企業は、その世界についていけるでしょうか。そのくらいの歴史的転換期が来ていると考えても過言では無いと思います。
一人ひとりが視座を高くしてこの不況を過ごして乗り切った先に、企業としてまたひとつ成長できるような気がしています。