週に何日か大学生と関わる生活を続けていると、自分も歳を取ったことをひしひしと感じます。
自分が彼らと同じ立場の頃に思い描いていた30の自分とは似ても似つかないわけですが、じゃあ、20代にやり残した事はないものかと考えても意外と思いつきません。
でも、振り返って今を見て、個人的にこれから気をつけようと思うのは、種を撒く畑と収穫時期を間違えちゃいけないなということです。
私が学生のころ、次はインドの時代だと、インドがやたらもてはやされていました(そういう環境を離れたからか、最近あまり聞かない気がします)。アメリカよりもインドに留学しろ!なんてTwitterで発信しまくっている有名なエリートは何人もいました。
デリーで揉まれたら世界中どこでもビジネスできるとよく聞いたので、そうかと思い、実際に半年間デリーで働きました。
その半年間で身に染みてわかったことは、これからはインドの時代、それは確かにそうかもしれないが、インドで日本人がインド人の消費者向け、現地の相場でビジネスできる時代がくるのはまだまだ先だということでした。
インドで起業した日本人!なんて当時日本から新聞記事などを見ていてかっこいいなあと思っていましたが、行ってわかったのは、日本人コミュニティ相手になんとか生活費程度を稼いでいる個人が多いことでした。
今は確かに早い、それでも自分が30になる頃には、日本人がインドでインド人顧客を相手に商売できているレベルまで発展しているだろうと考えていました。
当時からだいたい7,8年経ちます。今の仕事で、去年は2度インドに行きました。最後にデリーに行ったのが1年前です。去年の今頃はインドで複数のインド企業と交渉し、あれやこれやでインドに行ってまでなぜか2晩徹夜しました。ホテルのベッドにシワをつけなかったので、ハウスキーピングの兄さんに怪訝そうな表情で驚かれたのを覚えています笑。
そうしてインド企業の経営者たちと電卓を叩きながら話してやはり思ったのが、まだまだ日本の小さい企業が地場企業のようにビジネスできる国ではないということです。
今から10年後はどうか?と聞かれても、まだ無理だろうと、答えます。
となると、いくら国や市場にポテンシャルがあっても、少なくとも小さな法面施工業者である弊社が選ぶ畑としては間違っていることになります。
たしかにインドの時代が来るのは間違いないでしょうが、その実りの収穫が20年後なら、弊社が今種を撒くのは失敗でしょう。
そうした経験をしているうち、バカな気付きですが、30歳を目前にして、先の有限さを感じ、畑と収穫時期の大事さがわかってきました。これまでは、とりあえず大きくて誰も耕していない畑に、何が実るかわからないけど撒いとけくらいの感覚でした。なんやかんやと経験したこともありますが、小さな法面業者が種を撒く畑は、耕され始めたか、すでに耕され種が撒かれ始めたくらいがちょうどいいのかもしれません。それだとまったく新しいことはできないのかもしれませんが、畑を一から耕すのはそれなりに大変で収穫時期もかなり先になってしまい、そもそもそこまで会社があるかどうかもわかりません。
なので、革新的過ぎなくても実りがある、短いサイクルをいくつか回せればいいなと思います。
ミレーとゴッホ、それぞれ「種まく人」という有名な絵画がありますが、どちらの絵画の種がより実りそうですか?
個人的には、ミレーの種まく人は、先が分からないながらもとにかく躍動感をもって種をまく20代に重なります。
収穫への明るい期待を感じさせるゴッホのほうにこれからの種まきを近づけていきたいなあと思います。