コロナの関係で大学の研究室への出入りも禁止されていて、アースアンカーの研究活動にも多少影響が出ています。この時期を生かして、今年2月に行った現場実験をはじめ、これまでの室内・野外実験の結果を体系的に整理しようとしています。

上記写真は、アンカーを引き抜いている最中の状況です。載荷の際は、H鋼を使って地表面に干渉しないようにしていますが、引き抜ける直前には影響範囲が大きく盛り上がるので、アンカーの影響力が作用する(アンカーが持ち上げる)範囲を知ることができます。

下記はそれを最終的に引き抜いた後の状況です。
中央のひび割れて完全に崩壊した箇所が目立ちますが、直径1m以上の範囲が盛り上がってアンカーの影響を受けています。

もちろん、引張り力のピーク値が計測される程度までは地盤が極端に盛り上がったり、ひび割れたりはしません。これは引き抜ける直前の挙動になります。

アースアンカー引抜き後地表面影響範囲

ちなみにこのアンカーは、大型シリーズの中で最も細身な ハルクHG100 タイプです。

深さ1.8m (~1.0m砂層~1.8m粘土層)に設置されたもので、1m以上引張って、引抜き力と変位を計測しました。

これらの写真は、それを後日完全に引き抜いた時のものです。なので、引抜き開始時点で根入深さは1m以下です。この種の実験データはこれまで多く採取しており、アンカーの投影面積の何倍もの範囲に影響を与えていることが確認できています。

では、アンカーの投影面積の大きさが変わると、アンカーが及ぼす地盤の影響範囲も比例して変化するでしょうか?

また、土質、つまり砂質土や粘性土の違いによって、アンカーが与える地盤への影響範囲に違いは出るでしょうか?

さらに、設置する深さが変わると影響範囲にも変化が出るでしょうか?

設置する角度や引張る角度が変わると、地盤に与える影響はどうなるでしょうか?

これら条件ごとの問題も、これまでの現場実験や室内模型実験に基づいて傾向を導けるようになりました。

次回以降は、アースアンカーを引き抜いた際の動画などもご紹介したいと思います。