あなたの欲しいものはなんですか?
いくつか思いつきますよね。そして大抵、既に世に出回っているものを思い浮かべられたと思います。
続いて、
皆さんスマートフォンをお持ちだと思いますが、20年前にiPhoneが欲しいと思っていましたか?
ジョブズがこんなことを言っています。
A lot of times, people don’t know what they want until you show it to them.
多くの場合、人は形にして見せてもらうまで、何が欲しいかわかっていないものだ。
新工法を開発する際、設計提案を行う際、創意工夫をする際でもなんでも、具体的に形にして提案して初めて理解してもらえますよね。
どんなに素晴らしい提案でも、今ないものを人はなかなかイメージできません。それが斬新で素晴らしいアイデアであればあるほど、形にして、はいどうぞと見せなければ伝わらないでしょう。
子どもの頃、年に数回セレクト給食というのがありました。Aはハンバーグ、Bはエビフライのように、その日だけはAかBか給食のメニューを前もって選ぶことができました。今でも覚えているくらいですから(食い意地が強いだけでなければ)、子どもにとっては一大イベントで、友達と話しながら真剣に選んだのを思い出します。
これも不思議なもので、AかBかなんて選択を迫られるまでは、ハンバーグもエビフライも別に食べたい気分ではなかったはずです。何か食べたいものを書いてと言われて、ハンバーグ、エビフライとは書かないかもしれません。
でも2択を迫られると、ハンバーグとエビフライの狭間で真剣に悩むことになります。たとえばエビフライを選ぶと、まるでずっと昔からエビフライが食べたくてしょうがなかった気がしてきます。
しかしながら、もしこの世にエビフライがまだ存在していなければ、普通はエビフライを食べたいと思うことすらありません。
どんなに便利なものでも、世に出るまで普通の人はそれを欲しいと思うことができません。どんなに良いモノや良い戦略でも、形にして実践して見せてあげなければ、考えたことがない人には伝わりません。
ありがたいことに、この世にエビフライは存在しています。誰かが生み出したのです。生み出す、ビジョンを描く人は、ないものを思い描くわけですから、エネルギーが必要です。そのビジョンに人を巻き込もうと思ったら、なおさら多くのエネルギーが必要です。
小説家が、描いたストーリーを理解してもらうためには、タイトルではなく物語を語る必要があります。
新工法を考えておられる方、新たな経営戦略を描いておられる方、現場でより良い施工方法を提案しようとされてる方、今日もそれぞれの現場で多くの人が、今はまだないものを思い描いておられることでしょう。
あなたのビジョンが形になるまで頑張りましょう。形になったら人に判断してもらいましょう。
当事者やそれを真剣に考えている人以外は、形になってからしか物事を判断できません。エビフライだって、レシピの段階では味なんかわかりません。
まずは、形を完成させて見せてあげましょう。味に満足されないようなら、タルタルソースもつけてやりましょう。それでもだめなら、ハンバーグをつくればいいじゃないですか。完成させた料理に対する意見なら聞く価値があります。形さえできれば、食べる人の好みに応じて味付けを変えることは、いくらでも可能なのですから。