最近のコロナ騒ぎで、ウイルスや病原菌、その影響に関心を持たれている方も多く、今、カミュの「ペスト」が世界中で爆発的に読まれているようです。また、約10年前に話題になった「銃・病原菌・鉄」を改めて手に取っている方もいらっしゃることでしょう。

銃病原菌鉄

銃・病原菌・鉄http://www.soshisha.com/book_search/detail/1_1005.html

今回のコロナウイルスが世界に与えている打撃を考えると、ウイルスや病原菌が人類の歴史にインパクトを与えてきたことが理解できます。

「銃・病原菌・鉄」によると、ピサロのインカ帝国侵略など、ヨーロッパがアメリカ大陸を征服できた要因の一つは病原菌です。家畜文化で人口密度の高いユーラシア大陸では、動物が原因となる病原菌が蔓延していました。天然痘であったり、その種はいろいろですが、ヨーロッパの人々はそれによって被害を受けてきた歴史がある反面、免疫を持つようにもなっていました。

コンキスタドールと呼ばれるスペインからの征服者は少人数でしたが、侵略と同時にアメリカ大陸にはこれまでなかった病原菌が持ち込まれました。銃や剣で殺された人数よりも、持ち込まれた病気による死者のほうが多かったようです。

今回は武漢でもはじめての流行だったので中国も本気で封じ込めにかかっていますが、仮に中国の人だけが昔から免疫を持っているようなウイルスが知らずに広まっていたら、さらに恐ろしい事態になっていたかもしれません。

大航海時代よりも人の移動がグローバル化しているので、地球のどこかで感染者が出れば、それによる被害は世界中に広がってしまいます。ただ、免疫の面だけで考えたら、発生したウイルスに対して同時期に全地域に免疫を持つ人ができ、全世界が対策に取り組むので、長い目で見れば、全世界で状況を共有していることにも意味があるのかもしれません。

病原菌ばかりは、各国の利害関係なく全世界共通の敵かもしれませんね。

しかしながら、ウイルスって一体なんなのでしょう。生き物でしょうか、細胞でしょうか、遺伝子なのでしょうか。意思はもっているのでしょうか?

ネットサーフィンで調べていると、細胞の中に入り込んで初めてある作用を引き起こさせる遺伝子だと思えます。その遺伝子が、自身が入り込む細胞を求めて飛び移っている感じでしょうか。ちなみにウイルス自身は、広がってやろうとか、乗り移った先を困らせてやろうという意識を持っていないようです。

もちろんその作用がヒトにとって良いように働いている場合もあります。

遺伝子を操作できるなど、ヒトは神に近い領域にまで踏み込んでいるとすら思う時もありますが、まだまだそんな意思すら持たないヤツに翻弄されてしまう存在に過ぎないのですね。

世界情勢は意外とちょっとしたキッカケで変わってしまう。こんな時、歴史から学ぶことは多いです。