国際学会Geomate 2019 Tokyo報告

開会前夜のホテルロビーには外国人の研究者がたくさん集まっており、すでに賑わっていました。
国際学会のため出席者や発表者は外国人が多く、弊社が発表したセッションの発表者も日本人は全体の2割程度で、他は東南アジア各国からの登壇が目立つ学会でした。
規模自体はこじんまりとした学会でしたが、国際色にあふれて各国の研究者がどんなことに関心をもっているのかが垣間見えて興味深かったです。

Geomate2019 keynote
Geomate2019 keynote

今回弊社が参加した建設材料系のセッションの日本人以外の発表で個人的に興味深かったのは、National University of Singapore(シンガポール国立大学)とDe La Salle University(フィリピン)の論文でした。それぞれ調べてみると、シンガポール国立大学はアジアNo.1と評判で、デラサール大学もフィリピンで1,2の有名私立大学のようです。どちらも教授と学生が登壇していましたが、普段絶対関わらない各国の優秀な研究者の研究内容を知り、それについて考えることができ貴重な時間でした。

それらの論文内容は、セメントの代替品研究という点で共通していました。
シンガポールでは狭い国土の割に建設が盛んなこともあり、セメント(砂)系の材料が不足していて、代わりになるものの研究が盛んなようです。当たり前に存在する砂のようですが、世界的な砂不足が我々建設業者にとって重大問題となる日も近いのでしょう。全体的にセメント系の研究発表は多く、我々のような小さな法面屋がロックボルトや法枠に使用するグラウトやモルタルの配合を大きく変える日も来るのかもしれません。

Geomate2019 アースアンカー研究発表
Geomate2019 アースアンカー研究発表

そんな中で弊社は、金沢大学と共同研究しているアースアンカーの野外実験結果の研究報告を行いました。
弊社がオーストラリアに倣ってハルクアースアンカーと呼んでいるものは、先行研究を調べていると、プレートアンカーやサーキュラアンカー、エンドアンカーなどとも呼ばれています。数十年前から今日に至るまで、当該アンカーの挙動を把握するため、 現在進行形で各国の研究者が 同様の室内実験を行っています。どれもFEM解析や専門的な解析がモデル地盤とモデルアンカーを使って行われていますが、現場で実物のアンカーを使った研究事例は意外と見つかりません。

Geomate2019 アースアンカー研究発表
Geomate2019 アースアンカー研究発表

弊社が発表した研究論文は、今回のセッションで発表されていた論文の中でも一番シンプルで簡単な内容の研究でした。ただ、研究内容が難しくなくても現場大の実験を地道に行って集めたデータというのは、事例が少ない分、実は価値のあるものです。実際にこれまで数件の現場に導入した際も、現場実験のデータが役立っています。並行して実施している室内実験や他の先行研究と組合わせることで、効果的なガイドライン作成を目指します。

Geomate2019 アースアンカー研究発表
Geomate2019 アースアンカー研究発表

Geomateに引続き、来週はベトナムハノイで開催されるGEOTEC HANOI2019で室内実験の研究を発表します。外国で実施される国際学会での発表はこれがはじめてとなるため、どんな雰囲気なのか楽しみです。