弊社と金沢大学の共著である、アンカーで補強された斜面地盤の挙動を調べるFEM解析に関する論文が、インターナショナルジャーナル『Soils and Foundations』に掲載されました。

Soils and Foundationsは、地盤工学の分野で世界中の研究者に知名度と影響力のあるジャーナルなので、ひとつの成果として大変嬉しく思います。

オープンアクセスですので、論文はこちらからご覧ください。

今回の論文では、アンカーの斜面補強効果を調べた実験結果をFEM解析で再現しています。
FEM解析ではモールクーロンモデルでなく、Subloading tijモデルを使って、応力の変化に伴う地盤の強度変化も考慮しています。

したがって、もはやアンカーは本論文の一要素でしかなく、全体的にはtijモデルを使ってアンカーで補強された斜面地盤の挙動をFEM解析したというのがメインテーマになります。弊社と金沢大学の研究も随分前からアンカーという枠を超えた研究となっています。

FEM解析は、解析のたびに条件を変えて実験を行っているようなものです。3次元で解析を行って何百、何千ケースと解析しており、アカデミック用途では使い込んでいます。

一方で実務で本格的に使う機会はまだないなと機を伺っていました。

そうこうしているうちに測量や設計など上流工程でのCIMや3次元データ活用が進んできて、施工面でも3次元点群データの活用が本格化してきています。

それを見ていると、FEM解析が点群データやICTの活用において隠し味になり得るタイミングも近いと思っています。

その前に設計段階や施工前の照査段階でのCIMとあわせた3次元の斜面安定解析が出てくるでしょうし、それと連動させたタイミングが出しどころかなあと思います。