赤外線調査となると、モルタル吹付やコンクリート構造物やソーラーパネルや外壁、タイルの点検を思い浮かべる方が多いと思います。
活用できる用途は多様で便利そうでありながら意外と土木工事では活躍する機会が少なかったと思います。
ただ赤外線画像を活用してみると、法面工事はもしかしたら赤外線解析がフルに活躍できる数少ない工種なのかもしれません。モルタル吹付や法枠の点検に限らず、法面では地山の点検から吹付後の法面まで赤外線画像解析が施工を通してずっと活用できます。
さらにドローンによる赤外線画像による調査では対空標識の設置も必須ではないので、維持管理者にとっては大きなメリットとなるはずです。
愛東の現場でもドローン(UAV)写真測量による点群データを使った地形的な解析に加えて、赤外線画像でも地山の点検を行っています。
Matrice300RTKのH20Tなどの赤外線カメラで撮影した赤外線写真は、画像解析ができます。
下記が解析を行っている状況画像です。
表示したい温度のレンジを設定して、解析結果の視認性が良くなるよう調整します。
さらに、色のパターンも白黒やカラフルなパターンなどいろいろと調整ができます。
正確な解析のためには、調査する対象物とカメラとの距離、外気温や湿度、対象物の放射率や反射温度を入力する必要があります。
このあたりの入力内容が赤外線画像解析結果に影響を与えるので正確に入力しなければなりません。
Emissivity(放射率)はなじみのない値ですが、土や砂、コンクリートは0.9強なので、0.9~0.95くらいで解析しています。あまりにおかしな値を入力すると、色彩がおかしくなるので、ちょうど良くなる範囲で逆に調整するのも手かもしれません。
Reflected temperature(放射温度)は、調査対象物の周辺に極端に温度の低いものや高いものがない限り外気温と同じで問題ありません。
あとは、目的に応じて画像のカラーパターンや温度のレンジを調整すれば、見たいものが見られます。
下記は、色を白黒にして法面を赤外線解析した例です。
白いところが温度が高いところ、黒いところが低いところです。
例えば温度が低いところを探す場合、白く表示される範囲を広くしてやれば黒いところが残って見つけやすくなります。温度を示すレンジの最大値を下げていくと、それ以上の値を持ったエリアが画像の中で白くなるので、低い温度を探す場合の解析結果がよりくっきりと判別できます。
解析結果がただの誤差なのか、点群データや現場と比較したときになるほどたしかにとなるのか、解析者の判断力が問われるところです。
いずれにしても、これまで目視で湧水箇所など地山点検をしていましたが、ドローンで法面現場を広範囲に捉えてかつ赤外線という目を持って現場を捉えられることは、技術力や品質の向上にもつながります。
UAV3次元計測による点群データ活用をしながら、Matrice300RTKを携えてICT活用の幅が広がっています。