森林を不必要に伐採したり,切土をしたりすることなく,自然斜面をそのまま補強できるのり面工が,ユニットネット工法です。
ロックボルト工事において,森林を伐採しないのり面工を選択する場合,もちろん森林を伐採せずに自然斜面が削孔できる必要があります。つまり,樹間削孔が可能なSD工法とユニット工法は相性抜群で,この組み合わせは大翔の代名詞となっています。
ユニットネットは文字通り,上記のような9枚のユニット単位で納品され,法面上でぱたぱたと展開して簡単に設置することができます。下記は,展開中および,展開後の様子です。
展開中に樹木があった場合は,ジョイントを開閉して囲んだり,太い樹木の場合は,別途ワイヤロープで囲ってそれを周りのユニットネットと連結して一体化させることができます。ネットという名称ですが,普通のネットでは切り貼りが必要で施工性が悪くなる樹木の多い法面でも,樹間を縫うように自由自在に地表面を被覆できるのが利点です。
下記のように,森林を維持したまま,自然斜面補強が可能なので,全面モルタルで吹き付けた法面とは,景観が大きく異なります。
SDGsの観点からも,環境に配慮した持続可能な法面保護工といえます。
また,樹木を維持するだけでなく,地表面の落ち葉や植生までそのまま維持して施工できていることがわかります。伐採して切土して施工する場合は,植生マットや植生基盤材を吹き付けて緑化を試みますが,ユニットネット工法では基本的にそれすら不要で,効率的です。
ユニットネットは520 mm x 520 mmの目合いで構成されており,地表面に密着する仕様になっております。地表面に密着するこの仕様が意外とキモであり,補強効果を最大限地表面全体に伝達するだけでなく,目合いからの中抜けを防ぐとともに,地表面の落ち葉まで保持できることで,雨水による地表面の侵食や表土流出を防ぐ効果もあります。
カーボンニュートラルやSDGsの流れもあって,エコロジカルな法面保護工法は,これからどんどん加速していきそうです。