土木も法面も砂とは切っても切れない仕事です。

砂は種類ごとに特性が決まっているようで、実際その力学的特性は、その状態の間隙比(締まり具合)に左右されます。

砂を用意しても、その砂をどの状態で使うかで材料として力学的特性が変わってきます。

そして、その砂が最も密な状態に対してどのくらい締まっているかは、相対密度(Dr)で表せます。

何をいまさら、という当たり前の話ですが、先日から、実験に関係する砂の試験をいろいろとやっています。

最大密度試験では、モールドを回転させながらひたすら合計1000回叩きますが、そうした試験には、学生時代に懐かしい記憶がある方も多いのではないでしょうか。

砂ってなんとも捉えようのない面白い物質です。

私は根が文系寄りなので、砂について学生のころ思い出すのは、そういう試験ではなく、安部公房の小説「砂の女」です。

ストーリーは全然覚えていませんが、あれを読んでいる時の何とも言えない、じゃりじゃりと口の中にまで砂が入ってきたような感覚を思い出します。

砂と同時にあの小説では、水のイメージも強く焼き付きました。

本来であれば、水のほうに流れるイメージを持つはずなのに、砂のほうが止めどなくしゃらしゃらと流れてきてうっとうしく、水のほうにからからと渇いた感覚を持ったことを覚えています。

含水比だったり湿潤密度だったり、飽和度だったり、砂と水も切り離せない関係にありますよね。

今また「砂の女」を読んだら、あのころとは違った視点で読めるかもしれません。