法面保護工の対策の検討は第一に法面緑化から始まる、とのり面施工管理技術者の講習で聞いたことをいまだに覚えています。当時は、緑化で法面保護ができるというのが新鮮な驚きでした。正確には、表面浸食の防止の役割で、崩壊に対しては力学的な効果はないわけですが、それでもまずは緑化の検討からというのはインパクトがありました。

法面屋は意外と種子や植生にも関わる機会が多いもので、種子や発芽した芽の形を見ただけでなんの植物かわかる技術者もいらっしゃいます。のり面施工管理技術者の試験を受けていた当時は、ススキの種子はどれか?みたいな問題が出て、お手上げだったのも覚えています。

法面の緑化については、植生マットや厚層基材の吹付のように緑化で表面浸食を防ぐ現場もありますが、簡易法枠と組み合わせたり、法枠工と鉄筋挿入工からなる法面保護の枠内を緑化したりというケースも多いですよね。

法面緑化の実務では、法面調査で土壌硬度を計測して、土壌酸度を測って、勾配や法面の向きや降水量を調べ、そのうえで最適と思われる基盤材の吹付厚さや種子を選定します。

ところで、この種子選定について、ひとつずつカタログを見ていると同じように見える植物にもいろいろと個性があって面白いです。

最近、ポケモンの新作が発売されて話題ですが、たとえば種子を5種選ぶ場合だと、ポケモンのパーティーを組んでいるようなそんな気さえします。

草本類や木本類や外来系の牧草系など、種子の配合も植生計画によって変わってきますし、同じ草本類でもそのなかからどれを選ぶか、という点においても技術者の意図が入ります。

以下画像は、カネコ種苗(株)さんの種子カタログからの引用です。

耐寒性、耐暑性などのほかに、土壌緊縛力や地下茎の展開範囲なども考慮しながら現場に応じた種子配合を検討するとなかなか奥深い世界です。。。

地元の方の草刈り手間を考えて背丈の低い配合にしたり、外来の牧草が早く法面を覆って基盤材がながれるのを防いでくれる反面、それに食われる肥料を補完するためにメドハギが肥料草として機能することを期待したり、組み合わせによっていろいろと検討できます。

現場の将来のためにも意図を持った最適な配合を計画したいですね。

レッドトップ種子_法面緑化
メドハギ種子_法面緑化
クリーピングレッドフェスク種子_法面緑化