小学生のころアニメ「ワンピース」を観ていて(今でもまだ観ていますが笑)、衝撃のシーンがありました。サンジが魚人のクロオビに海の深いところまで引きづり込まれて、水圧でおなかがへこんで血を吐くシーンがあります。

この時、水圧によって魚はなんで潰れず、人間だけがつぶれるのか疑問に思って調べたことがあります。特に深海魚なんて、とんでもない水圧がかかる中でどうやって生きているのか不思議でした。

答えとしては、水圧で潰れるのは空気なので、体内に空気を含んでいなければ潰れません。豆腐も空気がほとんど含まれず水分が多いので、深海でも潰れないそうです。人間は肺のある胸周りがつぶれてしまいますね。深海魚の浮袋は、油で満たされていたり、浮袋を持たないものもいたり、身体がほとんど水分でできていたりと工夫されています。

ところで、土は圧縮すれば締め固まりますよね。土の固さはN値で知れます。N値を知る目安として、鉄筋が手で簡単に入れば0~5、スコップで簡単に掘れれば10以下、ハンマーで鉄筋が簡単に入れば30以下と聞いたことがあります。

それでは、チンアナゴが身体を押し込んでいる砂のN値っていくつくらいなのでしょう。チンアナゴは水深50mより浅いところに生息するようです。例えば水深50mの海底に生息しているチンアナゴの入っている砂は、50m分の水圧が作用しているのでとても固く締まっているのでしょうか?そうだとしたら、チンアナゴの削孔能力はとんでもないですよね。

ですが、たとえ水深何100mの深海でも、海底の砂は魚が近くを泳げば舞い上がります。

その理由はご存じの通り、土粒子間の間隙水圧が、浮力としても作用しているためです。なので、水面下に地盤がある場合、地盤に作用する上部水深分の鉛直応力は、その深さ分の水圧と相殺されてしまいます。つまり、水面下にある深い地盤では、水深の分全応力は大きくなっても、間隙水圧を除いたら、土粒子に作用する有効応力は大きいわけではありません。

地下水位が上がった場合や下がった場合で、当然ながら有効応力は変化します。地下水が斜面にあると、有効応力の変化によってすべりの挙動も変わってきます。ロックボルトでは、施工中に湧水を見つけた場合、地下水面を設計に加えて照査し直すよりも、水抜きボーリングなどで適切に排水処理することが優先されると思います。

その分やっぱり水抜きは大事ですよね。施工中に湧水が確認できなくても、のり面や周囲の状況などから、水抜きパイプを設置したほうが良い法面もあるでしょう。弊社も施工中に状況を見て、追加で水抜きパイプの設置を提案することがあります。そういう場合、たいてい狙い通りに水がしっかり排水されるのを見て、提案してよかったと思う反面、やっていなかったらと考えるとぞっとします。

DKドレーンは、弊社が施工業者の目線で施工性と打撃貫入性能を高めるためにメーカーと共同開発した、水抜きパイプです。水抜きパイプが必要になったら、ぜひご活用ください。

チンアナゴ

ちなみに、こちらが本物のチンアナゴです。1枚目のシマシマの奴は、ニシキアナゴという別種です。水族館に行くと、たいてい同じ水槽にいます。