今日歯医者の待合室にて、COP27についての読売新聞の記事が目につきました。
11月6日にCOP27がエジプトで開催されるようです。京都議定書やパリ協定などに代表されるように、気候変動についての枠組みを途上国と先進国で議論する会議です。
COPといえば毎回、徹夜での議論が続くなど、会議としての機能を疑問視する声もあるようです。各国の成長ステージが異なるので、気候変動に関する取り決めについて、全会一致しないのはもっともです。
よく聞く話は、先進国が排出したCO2などで途上国まで気候変動の被害を被っている。先進国は成長しきっているから脱炭素や温室効果ガスの削減を目指してくれたらいいけれど、これから成長する途上国にまで押し付けるな、といったものでしょうか。
今回の紙面はそれでなく、聞きなれない「損失と損害」という内容だったので興味をひかれました。
損失と損害(Loss & Damage)とは要するに、先進国が気候を変動させているせいで途上国が激甚化した自然災害によって損害を被っているのでそれを補償しろ、という途上国の要求です。それを先進国がのむかどうかが焦点の一つとなるようです。
現在、途上国の損失と損害を負担することを表明している国は、デンマークのみらしいです。その額19億円。え?それだけ?って感じなのでそれで全会一致するなら先進国なら負担すればいいのにと思いますが、損失と損害というくらいなので、非を責めらて責任をとるというなことなので、国としては簡単に認めるわけにはいかないのでしょう。
日本はどのような形かはわかりませんが、自然災害大国として、その経験を生かして民間企業を積極的に活用して解決する方針のようです。他方、デンマークの19億円は、環境保険プロジェクトや現地のNGOに充てられるようです。
日本はODAなどにそもそもかなり注力している国ですので、損失と損害を負担できる経験と技術力を兼ね備えた国として早く手を挙げて、大々的に世界の自然災害対策をリードできる国だと世界中にアピールするプロパガンダとして活用すればよいのにと思います。
今は話に上がっている、保険系のビジネスや、豪雨警報などだけでなく、もっと民間企業の技術を集めてあらゆる意味でプラスに活用してほしいです。
損失と損害を負担する非があるような条約文はどうにかして、お金も現地NGOなどに簡単に供与せずに国内の民間企業に流してどんどん海外に出してほしいです。これまでのODA経験からも、途上国にお金を流しても何も解決しないことがわかっているので、国内の民間企業にチャンスを与えてビジネスとして現地の損失や損害を解決させてほしいです。SDGsとも関連づいて、海外で磨かれた技術が国内の技術力を向上させますし、途上国で日本のプレゼンスを確立することにもつながります。
弊社も来年始まる予定のJICAのプロジェクトにて、フィリピンの現地企業や現地政府機関とやり取りして現地で日本の斜面防災技術を活用した事業をつくるプロジェクトを進めようと現在JICAとの契約交渉に取り組んでいます。国内の建設系の大手のコンサルさんもチームに入ってくださっていて、JICAとの契約が締結したらまた詳しくお話します。
これも日本のお金を使ったプロジェクトとして、弊社レベルの企業が斜面防災のプロとしてフィリピンの国交省的なDPWHやローカル政府に働きかけて、日本の技術を活用した斜面防災事業を行うよう取り組みます。これも外からみたら途上国の開発課題を解決するためのプロジェクトです。弊社にとっても、途上国支援という大義名分はもちろんありながら、現地同業者と連携しての現地現場の施工や、現地の斜面防災技術や同業者、エンジニアや政府と議論やプロジェクトを進めることで会社の技術力をブラシュアップしたり、工法のブランド力を高めたり、他社との差別化したり、採用活動でのイメージアップという目的もあります。フィリピンの現場を取りにいってフィリピンで工事をしようとしていると短絡的に捉えると、ODAなど海外援助の本質は捉えられません。弊社ではそれとも連動させる目的で、今年から技能実習生をフィリピンから迎え入れています。フィリピンでの斜面防災の常識を把握して、日本の技術がそれに比べてどうで通用するのか、現地企業の技術者は日本で活躍できるのか、現地の同業者でSD工法に似た削孔やモルタル吹付をすでにやっている技術者を技能実習生として受け入れたら、国内の人材不足を解消できるのではないか、フィリピンの現場を現地の施工班で施工出来たら国内とは別の収益源となるのではないか、ICT法面工の技術は持ち込めるか、いち零細企業の海外プロジェクトでも複数の意図が絡み合っています。
COP27では、途上国と先進国という大きな枠組みの中にさらにそれぞれの国レベルの意図が絡み合います。ほかは手を上げないけど、日本はなぜか本気で思いっきりやろうとしている、どうやら自然災害の被災・復興経験と技術力を生かしてビジネスで自然災害や気候変動問題を解決できるらしいぞと、たまには国際的な場をリードして目立ってほしいです。