熱海の土石流の原因が盛土にあったということで,盛土の安全性を懸念するようなニュースをよく目にするようになりました。

毎年の台風が激甚化していたり,ゲリラ豪雨の被害が深刻化したりしているなかで,これまで崩壊を心配しなくてよかった盛土や斜面の崩壊がこれからも増えていくでしょう。これまで補強がなされていなかったような,そうした法面や斜面は,小規模に点在すると思われます。

盛土をロックボルトで補強する場合,施工規模が小規模すぎて経済的に割に合わなかったり,土質的に周面摩擦抵抗がとれずに引張り抵抗力を確保できないケースも考えられます。

当社が打ち込み式のアースアンカーに関する研究を始めたのも,そうしたこれまで取るに足らなかった盛土や法面の土砂災害を未然に防ぐ補強や,災害時の緊急復旧を想定してのことです。

盛土や法面を打ち込み式のアンカーで補強している事例は,欧米ではすでに実績があるものの,日本国内適用に向けては,金沢大学と模型実験や現場実験を3年以上に渡って慎重に行ってきました。

斜面崩壊室内実験 法面

アースアンカーに関する基礎的な研究成果はそろいましたので,これからそのアカデミックな研究成果を盛土崩壊や土砂災害の危険を解決するのに生かしていきたいと思います。