韓国が中進国の罠から抜け出せたのは、アジア危機を機に抜本的な構造改革が進み、市場主義的な経済への移行を進めたことや、スマホなど高付加価値の事業に取り組んだことが大きいと言われています。

日本でも単純な労働力を投入した工業を進めるんじゃなくて、自動車や家電など、高付加価値の商品のイノベーションを進めました。

いろんな説がありますが、中進国の罠から抜け出すためには、政治的な構造改革や教育など社会的な構造の変化が必要なほか、民間ではイノベーションを生み出したり、高付加価値の製品やサービスを作り出す必要があります。

ここで難しいのは、途上国が先進国になるためにいきなりイノベーションや付加価値を生み出すのは難しく、とりあえず一旦は中進国になるステップを踏むことです。

中進国になるまでは経済が成長して、雇用も生まれて割と上手くいくわけです。ただ、そこから先進国になるためには、官民ともに変化しなければいけません。

上手く積み上げてきたものや、これまでの価値観から脱却しなければならないことが、罠から抜け出すのを難しくします。

中進国の罠からうまく抜け出せたとしても、一定期間成長が鈍化したり停滞したりする期間を経るようです。そりゃそうですよね、先のためにまったく新しい構造を作り上げるんですから。

その覚悟がないと、いつまでも中進国ということになります。

一時の停滞やリスクを見越して先進国入りを目指してやるか、現状維持を続けるか、二つに一つです。

現状維持も楽ではありません。中進国になるのだって、あり続けるのだって大変です。

そうして見通せる範囲で、国民がとりあえず今のまま暮らしていけるために身の丈にあった現状維持を続けるのも一つだと思います。

でも、中南米の中進国も結局経済的に危機に陥っていたり、ベトナムやタイも、ラオスやミャンマーが中進国になったら今ある地位も脅かされるかもしれません。

成長するっていうのも複雑ですね。